※2026年10月7日更新:電気・ガス料金の補助が2026年9月使用分で終了したことを反映し、値上げの数字を最新の集計値に直したうえで、時期を問わず使える「固定費の見直し手順」が中心の記事に作り替えました。
「また値上げか……」とスーパーのレシートを見てため息をついた方も多いのではないでしょうか。食品の値上げはここ数年続いており、電気代も上がりやすい状況です。一時的なものとは言いにくいでしょう。
値上げのニュースを見て漠然と不安になるだけでは、家計は守れません。この記事では、一度見直せば翌月以降も効果が続く「固定費」について、何から・どの順番で手をつければよいかを手順として解説します。
なぜ値上げ対策は固定費からなのか
食品の値上げは毎年続いている
民間の調査会社・帝国データバンクの集計では、2026年7月の飲食料品の値上げは2,664品目でした(出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年8月」、7月末時点の集計)。7月分の内訳(6月末時点の集計)では、加工食品(1,084品目)とパン(1,078品目)が多く、毎日の食卓に直結する商品が中心です。値上げ品目のうち、原材料高を理由とするものが92.5%、物流費が71.9%、包装・資材が69.8%で、中東情勢の影響によるものも24.7%ありました(出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年7月」)。
年間で見ると、2026年の値上げ品目は1〜12月の判明分で2万187品目となり、2年連続で年間2万品目台に達しています(出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年10月」、2026年9月末時点の集計)。値上げは一時的なものではなく、数年続いている流れだと捉えておいた方がよさそうです。
電気代は賦課金の引き上げ、補助は9月使用分で終了
電気代を押し上げている要因の一つが「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」です。2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円とされており、月400kWh程度を使う家庭では、賦課金だけで月額1,672円・年間にすると2万円を超える負担になる計算です(出典:経済産業省「2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」の公表単価をもとにした試算)。
一方、政府の電気・都市ガス料金の支援は、2026年7月〜9月使用分の3か月だけ実施され、9月使用分(原則として10月の検針分)の値引きで終了しました。10月使用分からは値引きがありません(出典:資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」)。値引き単価は、電気が1kWhあたり3.5円(8月使用分は4.5円)、都市ガスが1㎥あたり14.0円(8月使用分は18.0円)でした(出典:経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」)。電気を月260kWh、都市ガスを月30㎥使う家庭で試算すると、3か月合計の値引きは4,370円です(上記の値引き単価をもとに編集部で試算。実際の額は使用量によって変わります)。2026年10月7日時点では、延長や新たな支援の公式発表は見当たりません。
補助のような一時的な支援は、あるときもあれば、ないときもあります。支援の有無に左右されず家計が回るようにするには、日々の努力が必要な食費よりも、一度見直せば効果が続く固定費から手をつけるのが近道です。
まず何から手をつける?固定費見直しの優先順位
値上げのニュースを見るたびに食費を切り詰めようとする方も多いのですが、日々の努力が必要な変動費よりも、一度見直せば効果が続く「固定費」から着手する方が家計改善の効率は高くなります。以下は、一般的に効果が出やすく、かつ手間が少ない順に並べた見直し候補です。
| 優先度 | 項目 | 見直しの手間 | 効果の続きやすさ |
|---|---|---|---|
| 1 | 保険(生命保険・自動車保険など) | 中(一度の見直しで完了) | 継続的に効果あり |
| 2 | スマホ・通信費(格安SIMへの乗り換え等) | 中(手続きに数十分〜) | 継続的に効果あり |
| 3 | サブスクリプション(動画・音楽・アプリ) | 小(解約するだけ) | 継続的に効果あり |
| 4 | 電力会社・料金プランの見直し | 小〜中(比較・申し込み) | 継続的に効果あり |
| 5 | 変動費(食費・日用品) | 大(日々の努力が必要) | 効果が不安定 |
固定費は「一度手を打てば、翌月以降も自動的に節約が続く」のが最大のメリットです。逆に食費などの変動費は、見直しても気の緩みですぐに元に戻りやすい性質があります。値上げが続く今こそ、上位にある固定費から着手するのが合理的です。
ステップ1: 保険を見直す
生命保険や医療保険、自動車保険は、加入した時期のまま何年も放置されているケースが少なくありません。ライフステージ(結婚・出産・住宅購入など)が変わっているのに保障内容が当時のままだと、必要以上の保険料を払い続けている可能性があります。まずは加入中の保険の保障内容と保険料を一覧にまとめ、今の家族構成やニーズに合っているか確認するところから始めましょう。
なかでも見直しの効果が大きいのが死亡保障です。筆者が実際に死亡保障を解約したときの判断の順番と、逆に「減らさないほうがいい人」の条件は生命保険の見直しは50代がラストチャンスにまとめています。
実際、私も2026年前半に終身保険を解約したところ、それだけで月々の保険料を1万円ほど下げることができました。加入から時間が経っている保険ほど、見直しによる効果は大きくなりやすい傾向があります。
なお自動車保険については、年齢条件の見直しや通販型への切り替えで、年間で数万円下がるケースもあります。詳しくは自動車保険の見直しで確認すべき3つのことで解説しています。
ステップ2: 通信費を見直す(格安SIM乗り換えガイド)
大手キャリアを使い続けている場合、格安SIM(MVNO)やオンライン専用プランへの乗り換えで月々の負担を大きく減らせる可能性があります。以下は、一般的な利用状況(月間20GB程度)での料金の目安です。
| 項目 | 大手キャリア(無制限プラン等) | 格安SIM / オンライン限定プラン |
|---|---|---|
| 月額料金の目安 | 約7,500円 | 約2,000円〜2,900円 |
| 年間コストの目安 | 約90,000円 | 約24,000円〜35,000円 |
※一般的な目安です。各社の料金はよく変わるため、最新の料金は各社の公式サイトで確認してください。
条件にもよりますが、乗り換えだけで年間5〜6万円規模の差になることも珍しくありません。「安い回線は繋がらない」というのは過去の話で、大手回線を借りる格安SIMやサブブランド、楽天モバイルのような料金の安い新興キャリア・オンライン専用プランなど選択肢が広がり、日常使いで困る場面は少なくなっています。
私自身も大手キャリアから格安SIMに乗り換え、月々の支払いを5,000円ほど下げることができました。月平均のデータ使用量が20GBほどだったため、私の場合は楽天モバイルを選んでいます。あわせて、自宅のインターネット回線もソフトバンクのホームルーターから光回線(ピカラ)に切り替えたところ、こちらも月5,000円ほどの節約になっています。スマホ回線だけでなく自宅の通信環境もセットで見直すと、通信費全体の負担をまとめて圧縮できるケースは意外と多いものです。
自分に合う格安SIMの選び方(タイプ別)
- 節約最優先派(月3〜5GB程度): 複雑な割引条件がなく、シンプルに基本料金が安いサービスを。月額1,000円を切るプランもあります
- コスパ重視派(月20GB前後): 大手のサブブランド(UQモバイル・ワイモバイル)やオンライン専用プラン(ahamoなど)。お昼の時間帯も比較的安定した速度が出ます
- 家族丸ごと派: 家族割や光回線とのセット割、余ったデータのシェアができるサービスを選ぶと世帯全体で効果が大きくなります
まずはマイページで「自分が月に何GB使っているか」を直近3ヶ月分確認しましょう。それだけで、候補になるプランはかなり絞り込めます。
乗り換え前の3つのチェックポイント
- MNPとSIMロックの確認: 今の電話番号を引き継ぐには「MNP予約番号」の取得(またはMNPワンストップ対応の確認)が必要です。古い端末を使い続ける場合はSIMロック解除が済んでいるかも確認を。2021年10月1日以降に発売された端末は原則SIMロックなしで販売されています(出典:総務省「SIMロックについて」)
- キャリアメールが使えなくなる: 「@docomo.ne.jp」などのメールは原則そのまま使えません。GmailやLINEへ移行するか、有料の「キャリアメール持ち運び」サービスを利用しましょう
- お昼休みの通信速度: 格安SIMの一部は12〜13時に速度が低下しがちです。この時間帯の快適さを重視するなら、サブブランドやオンライン専用プランが無難です
手順としては「①データ使用量を確認 → ②自分に合うプランを選ぶ → ③MNPで申し込む」の3ステップ。手続きは数十分程度で、一度乗り換えれば以降は自動的に節約効果が続きます。
ステップ3: サブスクを棚卸しする
動画配信・音楽配信・クラウドストレージなど、契約したまま使っていないサービスがないか、クレジットカードの明細を1年分さかのぼって確認してみましょう。「無料期間だけのつもりが自動更新されていた」というケースは珍しくありません。複数の同じジャンルのサービスに重複加入している場合は、1つに絞るだけでも効果があります。
サブスクも途中で料金が上がることがあり、「使っているけれど値上げされた」サービスの扱いに悩む方も少なくありません。具体的な棚卸しの手順や、残す・切るの判断基準はサブスク疲れを解消する見直し術で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ステップ4: 電力会社・料金プランを比較する
まずは直近の検針票やWeb明細で、今年と去年の同じ月の電気代・使用量を見比べてみましょう。電気代の上がり幅は、電力会社や契約プラン、燃料費調整などによって家庭ごとに差があります。
電力自由化により、地域の大手電力会社以外にも選択肢があります。ただし、乗り換え時には解約金の有無や、契約期間の縛りを事前に確認しておくことが大切です。
固定費見直しチェックリスト
値上げが続くなかで家計を守るために、以下の項目を一つずつ確認してみてください。
- 直近の電気代・ガス代の検針票を、去年の同じ月と比較した
- 電気・ガスの請求に、国の補助などの一時的な値引きが含まれていないか確認した(値引きがなくなった後の金額で家計を考える)
- 契約中の保険の保障内容と保険料を一覧にした
- スマホの契約プランとデータ使用量(直近3ヶ月)を確認した
- 格安SIM・オンライン専用プランとの料金差を試算した
- 契約中のサブスクをすべて洗い出した
- 使っていないサブスクを解約した
- 食品以外の固定費(保険・通信)の見直しに着手する日を決めた
まとめ
食品の値上げは2026年も年間2万品目を超え、電気代も再エネ賦課金の引き上げなどで上がりやすい状況が続いています。2026年7〜9月使用分には電気・ガス料金の補助がありましたが、9月使用分で終了しました。
補助のような支援は一時的なものであり、値上げの流れそのものが止まったわけではありません。だからこそ、日々の節約努力に頼るだけでなく、保険・通信費・サブスクといった「一度見直せば効果が続く」固定費から手をつけることが、値上げが続く時期を乗り切るための現実的な近道になります。
実際、私も保険の解約と通信費(スマホ・自宅回線)の見直しだけで、合計月2万円ほどの固定費を圧縮できました。多少の手続きの手間はかかりましたが、一度手を打てば翌月以降も自動的に節約が続くので、それに見合うだけの効果は十分にあったと感じています。まずは今月、チェックリストの項目を1つでも実行することから始めてみてください。
なお、この記事で紹介した価格改定や補助制度の内容は、2026年10月7日時点で確認した情報に基づく一般的な整理であり、特定の商品・サービスの利用を推奨するものではありません。値上げの状況や支援策は今後変わる可能性があるため、最新の情報は各社・各省庁の公式サイトでご確認ください。
参考資料
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年7月」(確認日:2026年10月7日)
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年8月」(確認日:2026年10月7日)
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年10月」(確認日:2026年10月7日)
- 経済産業省「2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(確認日:2026年10月7日)
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(確認日:2026年10月7日)
- 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」(確認日:2026年10月7日)
- 総務省「SIMロックについて」(確認日:2026年10月7日)
