ある日突然、「荷物を誤って発送してしまった」という趣旨のSMSが、私のスマホに届きました。心当たりのない荷物、どこかぎこちない日本語、そして見慣れない送信元——。結論から言うと、リンクは開かずに済みましたが、この経験を振り返ってみると、気づけた理由は一つではありませんでした。

この記事では、実際に届いたSMSをきっかけに、宅配便を装う詐欺SMS「スミッシング」の一般的な手口と見分け方を、自分の体験を交えて整理します。

スミッシングとは何か

スミッシング(smishing)とは、SMS(ショートメッセージ)を使ったフィッシング詐欺の総称です。「SMS」と「フィッシング(phishing)」を組み合わせた呼び方で、実在する宅配業者・銀行・行政機関などになりすましたメッセージを送りつけ、記載されたリンクから偽サイトへ誘導する手口を指します(出典:警察庁「フィッシング対策」)。誘導先で氏名・住所・クレジットカード情報などを入力させたり、不正なアプリをインストールさせたりするケースが報告されています。

なかでも多いとされるのが、「荷物の不在通知」「荷物の誤配送」を装うパターンです。実際の配送業者からも配達状況の通知がSMSで届くことがあるため、詐欺だと気づきにくいのが特徴です。こうした手口は国民生活センターや総務省も注意を呼びかけており(出典:国民生活センター「宅配便業者を装った『不在通知』の偽SMSに注意しましょう」、総務省「メール・SMSの詐欺対策」)、決して珍しいものではないようです。

なぜ「宅配便」がねらわれやすいのか

考えてみれば、ネット通販が生活の一部になった今、「何かしらの荷物が届く予定がある」という人は珍しくありません。だからこそ、宛先や差出人を細かく指定しなくても、「荷物」という言葉だけで一定数の人が反応してしまう——これが、宅配便を装う手口が使われ続ける理由なのだろうと思います。

しかも、SMSはメールに比べて短い文章しか送れないぶん、詳しい説明を省いて「とにかくリンクを開かせる」ことに特化した文面になりやすい傾向があります。文面の情報量が少ないほど、受け取った側は「本物かどうか」を判断する材料も少なくなってしまいます。

私が実際に受け取ったSMS

2026年7月20日(月)、私のスマホに「荷物を誤って発送してしまった」といった趣旨のSMSが届きました。実際の文面を見てまず引っかかったのは、特定の配送業者名がどこにも書かれていなかったことです。〇〇急便や〇〇便といった実在の業者名は一切登場せず、宛先すらはっきりしない、誰にでも当てはまりそうな汎用的な内容でした。

気づけた理由は、大きく3つあったと思います。

  1. 身に覚えのある荷物ではなかった — そもそも荷物を送った・受け取る予定の心当たりが、そのタイミングでは一つもありませんでした
  2. 文面・日本語が不自然だった — 言い回しや漢字の使い方に、日本語ネイティブが書いた文章とは思えない違和感がありました
  3. 送信元の番号・アドレスが不審だった — 実在の配送業者が使うような公式の体裁とは思えない、見慣れない番号・アドレスでした

この3つが重なったことで、リンクは一度も開かずに済みました。

もし文面がもっと自然で、実在する業者名まで入っていたら、もう少し警戒心が緩んでいたかもしれません。なお、リンクを開いた後にどのような画面が表示されるのか、実際に開いてしまった場合にどんな対応が必要になるのかは、今回リンクを開いていないため分かりません。この記事でも、その先を推測で書くことはしません。あくまで「リンクを開く前に気づけた」という事実の範囲でお伝えします。

以前の記事「ネット詐欺の手口3選と対策【2026】」でも、職場の標的型メール訓練を通じて「怪しいと感じたら、まず立ち止まる」という習慣が身についてきた、という話を書きました。今回SMSを見た瞬間に反応できたのも、そうした積み重ねが多少なりとも効いたのかもしれません。とはいえ、私は詐欺やセキュリティの専門家ではなく、たまたま3つの違和感が重なって気づけただけ、という面もあると思っています。次はもっと巧妙な文面が届くかもしれない、という前提で構えておくくらいがちょうどいいのでしょう。

宅配便を装うSMSの見分け方

一般的に、宅配便を装うSMS詐欺には次のような特徴があるとされています。私が実際に届いたSMSで感じた違和感とも重なる部分が多いので、参考にしてください。

チェック項目見分けるポイント
業者名配送業者名が書かれていない、または実在する業者名と微妙に表記が違う
日本語言い回しが不自然(漢字とひらがなのバランスがおかしい、機械翻訳のような硬さがあるなど)
送信元電話番号やメールアドレスが公式のものと異なる(見慣れない番号、フリーメールに近い形式など)
心当たり心当たりのない荷物・注文についての通知である
急かし方「今すぐ確認しないと荷物が返送されます」など、判断を急がせる言い回しがある
リンク先URLが公式サイトのドメインと明らかに違う

一つひとつは些細な違和感でも、複数が重なったときは要注意のサインです。実際に私が気づけたのも、上の表でいう「心当たり」「日本語」「送信元」の3つが同時に引っかかったからでした。逆に言えば、どれか1つだけなら見逃していた可能性もあります。

判断に迷ったときにもっとも確実な方法の一つは、SMSに書かれたリンクをそのまま開かず、自分で検索したり、あらかじめブックマークしておいた公式サイト・公式アプリから荷物の状況を確認することです。本当に荷物に問題があるなら、公式サイトの追跡番号入力などからでも同じ情報にたどり着けるはずです。詐欺の手口は違っても、「うまい話・急かす話はいったん立ち止まる」という鉄則は共通しています。

万が一、リンクを開いてしまったら

とはいえ、文面が巧妙であれば、うっかりリンクを開いてしまうこと自体は誰にでも起こり得ます。ここから先は私自身の体験ではなく、一般的に案内されている対処法として押さえておいてください。

  • リンク先で個人情報やパスワード、クレジットカード情報などを入力していなければ、それ以上操作せずページを閉じる
  • 万が一、情報を入力してしまった場合は、該当するサービス(クレジットカード会社・銀行など)へ速やかに連絡し、カードの利用停止やパスワードの変更を行う
  • 不審なアプリをインストールしてしまった場合は、アンインストールし、必要に応じてスマホ全体のセキュリティチェックを行う
  • 判断に迷うときは一人で抱え込まず、警察相談専用電話(#9110)や消費生活センター(188)に相談する(出典:政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話『#9110』番へ」、消費者庁「消費者ホットライン」)
  • 同じ番号から繰り返しSMSが届く場合は、スマホの機能や携帯キャリアのサービスで着信・SMSの拒否設定を行うことも検討する

これらは一般的に案内されている対処の流れであり、私自身が今回試した内容ではありません。「もしものときのための知識」として、頭の片隅に置いておいてもらえればと思います。なお、SMS以外のリンクの扱い方については「時代遅れのセキュリティ対策6選|本当にやるべき新常識5選」の「メールのリンクを絶対に開かない」の項目も、そのままSMSに当てはまる考え方です。

また、実際にお金の被害が出てしまった場合は、一人で判断しようとせず、家族や周囲の人にも早めに伝えておくことをおすすめします。抱え込む時間が長くなるほど、対応が遅れて被害が広がりやすくなるためです。

まとめ

「荷物の誤送」を装うSMSは、宛先や配送業者を特定しない汎用的な文面のまま、無差別に送られてくることも多いようです。だからこそ、誰のスマホに届いても不思議ではありません。

今回の経験を振り返ると、リンクを開かずに済んだのは、①身に覚えのない荷物だったこと、②不自然な日本語、③不審な送信元という3つのサインに気づけたからでした。特別な知識や資格がなくても、「いつもと違う」という違和感を見逃さないことが、結局は一番の防御になるのだと感じています。

日頃から配送業者の公式アプリやサイトをブックマークしておき、SMSに書かれたリンクには頼らない——このシンプルな習慣を、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。荷物を待っている時期ほど、こうしたSMSにはつい反応したくなるものですが、一呼吸置いて確認する癖をつけておくだけで、防げるリスクは着実に減らせるはずです。

なお、この記事で紹介した見分け方や対処法は、あくまで一般的に案内されている内容の整理です。実際の手口は次々と変化していくため、「これさえ覚えておけば絶対安全」というものではない点はご了承ください。少しでも不安を感じたときは、この記事の内容だけで判断せず、公的な窓口や公式情報も併せて確認していただければと思います。

参考資料


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