20代後半、資格を3つ、学び方も3つとも違った
簿記は市販の教材を買って独学した(27歳)。行政書士はTACに通い、講座を受講した(27歳頃)。FPはユーキャンの教材を使って独学した(28歳頃)。3つとも、20代後半の数年間に取った資格です。
書店で本を選ぶ独学と、教材が定期的に届く通信教材の独学と、決まった時間に教室へ通う通学講座とでは、勉強のリズムも続け方もまったく違いました。
この3つを並べてみて初めて気づいたことがあります。学び方によって「使える公的な制度」が違っていた、ということです。当時の自分はそれをまったく調べていませんでした。しかもその気づきが訪れたのは、資格を取った直後ではありません。50代になった今になって、ようやく気づいたことです。
簿記は市販の教材で独学した(27歳)
簿記は、書店に並んでいる市販のテキストと問題集を買って独学で進めました。誰かに教わるわけではないので、範囲の絞り方も、どこまで手を広げるかも自分で決める必要があります。反面、費用は教材代と受験料だけで済み、始めるハードルは一番低いものでした。
行政書士はTACの通学講座で学んだ(27歳頃)
行政書士は、TACが開講している講座に申し込み、通学して学びました。独学で法律を勉強するのは難しいと感じたことが、通学を選んだ理由でした。決まった時間に決まった場所へ通う必要がある分、勉強のペースの骨組みは講座のカリキュラムが作ってくれました。この試験も一度で合格したわけではなく、不合格を経験しています。
FPはユーキャンの教材で独学した(28歳頃)
FPは、ユーキャンの教材セットを購入して独学で進めました。簿記のときのように市販本を使う道も、講座に通学する道もあったはずですが、選んだのは教材が届く通信教材のスタイルでした。通学講座は選ばなかった理由として、通うのが面倒だった、あるいは近くに通える教室がなかった、と振り返っています。
行政書士では通学して講座を受講していたので授業を紙のノートに纏めていましたが、FPでは自宅で教材を読んでエクセルやワードに纏めました。エクセルやワードの方が読み返しやすく、検索も容易でスペースもとりません。ノートをデジタル化しておく利点は、そこにありました。
簿記の市販本との違いは、あらかじめカリキュラムが組まれた教材が届く点でした。ただし、添削課題を提出して講座として修了する形ではなく、教材を使って自分のペースで学ぶ購入形態でした。この試験は一度で合格したわけではなく、不合格を経験しています。
早朝と夜のアルバイトの合間、勉強は昼間にしていた
3つの資格に共通していたのは、当時の生活リズムでした。早朝と夜にアルバイトをしていたので、勉強時間は主に昼間に確保していました。独学の2つも、通学の行政書士講座も、この昼間の時間をどう使うかが土台になっていました。
「教育訓練給付制度」を、当時は調べていなかった
3つとも学び終えて20年以上が経った今になって振り返ると、大きな見落としがありました。雇用保険に加入している会社員が対象講座を受講すると、費用の一部が戻ってくる「教育訓練給付制度」という仕組みがあります。当時の自分は、この制度の名前は聞いたことがありましたが、中身がどんなものかは知りませんでした。申請できるかどうかを一度も調べないまま、3つの資格の勉強を終えていました。
今調べてわかったこと
この記事を書くにあたって、今あらためて制度を調べ直してみました。
TACの公式サイトによると(2026年7月1日現在)、行政書士講座には教育訓練給付の対象になっているコースが今もあります(対象は講座全体ではなく特定のコースのみ)。ただし対象講座の指定期間は4月1日か10月1日から原則3年間で、自動的には更新されず、続けるには再指定の申請が必要になります。自分が行政書士講座を受けたのは27歳頃、今から20年以上前になります。今対象だからといって当時も対象だったとは限らず、その頃指定を受けていたかは今となっては確かめようがありません。
分からないまま終わったこと自体が、一番もったいないことでした。当時、ハローワークに電話一本入れて「この講座は対象になりますか」と聞いていれば、少なくとも答えは分かっていたはずでした。それをしませんでした。
3つ学んで、制度の土俵に乗っていたのは1つだけだった
さらに調べて分かったのは、簿記とFPの学び方は、そもそも制度の対象になりにくかったということです。
| 資格 | 学び方 | 教育訓練給付の対象になり得たか |
|---|---|---|
| 簿記 | 市販の書籍を購入して独学 | 対象外。給付の要件は「国が指定した講座を受講・修了すること」で、市販書籍の独学は講座受講に当たりません |
| FP | ユーキャンの教材を購入して独学 | 対象外の可能性が高い。ユーキャンのFP資格取得講座自体は今も一般教育訓練の対象講座だが、購入したのは「講座」ではなく「教材セット」で、添削課題を提出して修了する申し込み方ではなかったため |
| 行政書士 | TACの通学講座を受講 | 唯一、対象になり得ました。ただし当時のコースが指定を受けていたかどうかは未確認 |
この表を見て気づいたのは、「3つも資格を取ったのに、教育訓練給付を1つも使えなかった」という話ではないということです。正確には「3つのうち、そもそも土俵に乗っていたのは1つだけだった」。チャンスがあったとすれば、行政書士講座の1つだけ。そのたった1つのチャンスすら、調べずに通り過ぎてしまいました。
だからといって「損をした」とは言い切れない
ここまで読むと「結局、給付金をもらい損ねたのでは」と思うかもしれませんが、そう断定することはできません。理由は4つあります。
1つ目は、上に書いたとおり当時対象だったかが確認できないこと。2つ目は、受けたコース名が分からないこと。同じ予備校の講座でも対象は特定のコースだけで、講座名次第では最初から対象外だった可能性もあります。3つ目は、当時の受給要件(雇用保険への加入期間や他の給付を受けた履歴など)を満たしていたか不明なこと。4つ目は、支払った金額が分からないこと。給付は教育訓練経費(入学料・受講料)の20%(上限10万円)で計算されますが、受験料や書籍代は対象外なうえ、支払った記録も残っていません。
つまり「あのとき申請していれば何万円か戻ってきた」とは書けません。分かっているのは、調べる余地があったのに調べなかった、という事実だけです。それに気づいたのは、資格を取った当時ではありません。50代になって制度をあらためて調べ直した、今になってからでした。
これから学ぼうとする人へ
もしこれから資格の勉強を始めるなら、講座を選ぶ前に「その講座が、今、教育訓練給付の対象になっているかどうか」だけ確認しておくと安心です。厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べる、講座のホームページの表示を見る、ハローワークに問い合わせる、の3つで大抵は分かります。市販の書籍を買って独学するスタイルはそもそも対象にならないので、通信講座や通学講座を検討している場合に確認する価値があります。
給付を受けられる金額は、教育訓練経費(入学料・受講料)の20%、上限10万円。受験料や市販の書籍代は含まれません。雇用保険への加入期間など受給要件もあるので、最終的にはハローワークで確認したほうが確実です。資格スクールの講座は「一般教育訓練」に区分されることが多く、看護やITなど一部の専門講座向けの「専門実践教育訓練」(給付率が高い制度)とは別枠で、混同しないほうがいいでしょう。
前述のとおり、この指定は自動更新されません。だから「数年前にネットで見た情報」で判断せず、申し込む直前に最新の指定状況を確認したほうがいいでしょう。
まとめ
20代後半で、市販書籍で独学・通信教材で独学・通学講座という3つの学び方を試したこと自体、振り返るとなかなかできない経験だったと思います。ただ、学び方を選ぶ段階で「使える制度があるかどうか」まで考えていた人は少ないのではないでしょうか。3つのうち制度の対象になり得たのは行政書士講座の1つだけで、しかもそれすら調べずに終わりました。損得の答えは出せませんが、「調べなかった」ことが正しかったとは今でも思えません。
3つの資格で得た知識のうち、実生活で一番役に立ったと感じているのは、リスク分散を心掛けるようになったことです。何かひとつに頼りきらず、選択肢を分けて持っておくという考え方は、投資を始める前に整える土台の話とも重なります。
50代になった今は、若い頃に決めたきりだったお金の制度を見直す機会が増えました。教育訓練給付を調べなかったことに気づいたのも、そうした見直しの延長にありました。これから学び始める人には、講座を選ぶ前の数分間だけ、制度の確認に使ってほしいと思います。
